教授からのメッセージ
共に学び、
外科学の新たな価値を創造し、
患者を通じて社会に還元する
教授 日比 泰造
熊本大学の小児外科・移植外科は、新生児期〜乳幼児期〜学童期〜青年期に至るまであらゆる年齢の小児外科と、成人・小児の肝移植を中心とした腹部臓器移植外科の両翼を担う、高度な専門性を有する世界でもまれな外科学教室です。
諸君が我々のチームで後期臨床研修を積むことで、日常的な小児外科診療である鼠径ヘルニアから、「20世紀の医学上の奇跡」と称される肝移植に至るまで、高難度な手術手技のみならず臓器移植に必須の最重症患者の周術期管理を身につけることができます。
手術によって「かつて不治とされた病を治す」そして「よりよく治して標準治療を確立する」ことが外科医の使命です。我々は小児外科そして移植外科の領域でこの2つの役割を常に念頭に置き、「患者と共に治癒可能性の限界に挑む」を信条として、熊本や九州はもちろんのこと、日本そして世界で同じ病に苦しむ方々に最善・最良の外科治療を届けることを目指しています。
小児外科では鼠径ヘルニアや虫垂炎などの一般的な疾患にはじまり、先天性食道閉鎖や先天性横隔膜ヘルニア、腹壁破裂、鎖肛などの新生児外科、胆道閉鎖症や先天性胆道拡張症などの肝胆膵疾患、胃食道逆流症やヒルシュシュプルング病などの消化管疾患、嚢胞性肺疾患、さらに肝芽腫、神経芽腫、卵巣腫瘍など良性・悪性疾患すべてを網羅した全方位的な診療を行なっています。腹腔鏡手術もその黎明期から導入しています。
移植外科では肝不全に対する唯一にして最後の救命手段である肝移植を、小児では胆道閉鎖症や肝芽腫、代謝性疾患、成人では近年急増するアルコール性・非アルコール性脂肪肝炎(NASH)などの肝細胞性疾患、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)などの胆汁うっ滞性疾患、肝細胞癌、急性肝不全などあらゆる疾患に対し行なっています。臓器提供は人類のみが為せる最も尊い行為のひとつですが、言葉通り「命をつなぐ」手術である肝移植は熊本大学で通算600件に達し、国内外で指導的役割を果たしています。
我々のチームには臨床・研究両面で日本のみならず世界的にも評価が高い指導者が揃っています。後期臨床研修の諸君が彼らの活躍を目の当たりにしつつ高い技量と豊富な知識を会得し、見識を深めることは、ゆくゆく小児外科、移植外科で地域医療そして高度先進医療を牽引する上でかけがえのない経験となります。ひとりでも多くの仲間が我々と共に学び、外科学の新たな価値を創造し、患者を通じて社会に還元することを心から願っています。
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